interview vol.1
─ 葉皿のリニューアル(前編) ─2021年リニューアルの葉皿について、デザイナー小松誠さんに伺いました。
セラミック・ジャパンの葉皿。1995年に発表当時は、様々な彩の伝統的な釉薬で生産され、和食器の雰囲気が感じられるデザインでした。2019年、海外での展示会に向けて葉皿を展示する案が出され、デザイナー小松誠さんと相談を重ね、リニューアルに向けたプロジェクトが始動しました。レリーフや釉薬のテストを繰り返し、3つの窯変釉で生産が決まりました。
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錆茶 ―sabicha―
日本画の岩絵具の色である「錆茶」。金属に生じる錆がモチーフの色彩です。葉皿の錆茶は、黄色から赤、赤から茶色への移り変わりが美しく紅葉の様な仕上がりです。表情が様々に変化する赤茶色の釉薬は、エッジが立つ部分はシャープな印象に。
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白秋 ―hakushu―
古代中国で生まれた自然思想 ―五行 。その中で人の生涯における中年期を「白秋」と呼びます 。葉皿の白秋は、白の中にほんのり茶色が溶け込んだような、落ち着いた色彩。特に釉が薄い部分には、絶妙に焦げた表情が生まれ、秋を感じさせる黄や茶が混ざります 。
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万緑 ―banryoku―
俳句の季語としても使われる「万緑」。辺り一面が草木に覆われた状態のことを言います。葉皿の万緑は、奥行きのある深い色彩が魅力です。青、緑、黄が混ざったような不思議な表情は、釉薬をかける前の素地に顔料を拭くことでより奥行きが増した仕上がりになります。
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窯変釉
焼成中に窯の中で起きる釉薬の色の変化を窯変といい、炎の変化、温度、冷却の速度など、いくつもの要素と釉薬に含まれる成分とが影響し合うため、焼成後、窯から出した時にその表情が確認できます。「偶然」を器にとどめることの出来る釉薬です。
interview vol.1と題したセラミック・ジャパンの製品企画ストーリー。今回はリニューアルして販売が始まった「葉皿」について特集致します。魅力的なのはその形状。浅いV字を描く葉皿の形はどうやって作られたのか、どんな理由で窯変の釉薬が選ばれたのか・・・デザイナーである小松誠さんに、デザインや製品に込められた思いについても沢山聞いてみました。
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Q.セラミック・ジャパンからのリニューアルの提案について、第一印象はいかがですか?
以前にデザインした製品の葉皿のレリーフや、素材の変更など、土やと釉薬を換えたり―。リニューアルは、新しい可能性を秘めています。デザイナーにとって、自らがデザインした製品がリニューアルによって少しでも長く世の中に存在していく事は、とても嬉しいことです。
それをきっかけに、見知らぬ誰かに気に入ってもらえる事は、この上ない喜びであります。 -
Q.オリジナルの葉皿とは異なる風合いの釉薬を選ばれたのには、どんな想いがありますか?
初期の葉皿には和食器で伝統的に用いられる釉薬を使いましたが、何百年も使い続けられた伝統的な釉薬には力強さがあって、とりわけ和が感じられます。リニューアルで今回の釉薬を選んだのは、和だけではなく、グローバルな料理に対応したいと想ったからです。土と釉薬と炎による変化、窯変とも言いますが、葉皿一枚一枚が違った表情で仕上がる事を期待しています。
・・・・まだまだ続く、小松さんのインタビューは、後編でたっぷりお届けいたします。